グローバル化に対応した英語教育改革案に関して

2014年 3月 03日
作者: 代表 高山和子

文部科学省は、昨年12月に「グローバル化に対応した英語教育革新実施計画」を発表した。これは 2020の東京オリンピックを見据えて実用的な英語力の向上を図るのを目的としたものだ。その達成目標は、検定到達度でいうと、中学卒業時に3級・準2級程度、高校卒業時に2級、準1級程度となっている。具体的には英語を小学校3年から導入し、中学校では授業を英語で行い、高校では討論、発表などを通じて言語活動を高度化し、これを段階的に実施する。その達成のために、教員の指導力向上と共に、JETやALTといった人材を増やすことで対応するといったものだ。しかし、指導内容や指導者の育成の議論もなしに、単にグローバル化の名のもとに拙速な教育改革が現場にもたらす混乱は計り知れないと懸念している。いずれにせよ、東京オリンピック開催が英語教育に拍車をかけることは間違いないであろう。

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では、グローバル化に対応できる英語力とは何か。私は、グローバル社会を生き抜く人材は英語を自分の言葉として駆使し、意見をしっかりと発信でき、世界の人々と対等に渡りあえる人材であると考えている。その育成の為、出来るだけ小さい時から英語に取り組み、小学校卒業までには簡単な読み物が読め、子供自ら英語を学ぶ姿勢を身に付けるようにしてやることが第一歩である。日本語習得において、子供達は自分の知らない単語や表現が行きかう中で言葉を学んでいく。それは、英語でも同じである。ある文法の単元だけに何時間も費やすのではなく、どんどん難しい言葉を日々浴びるように学習し、単語を忘れてはまた覚えるという作業を繰り返し「全体」をとらえるという学び方が効果的である。ネイティブを増員し、会話に重点を置いた授業を増やすだけで高い実践的な英語力の習得はあまり期待できない。ネイティブを増員するのであれば、単に英語を母国語とするだけではなく、日本語が話せ英語指導を学び、単独でクラスを任すことのできるプロの教師を雇うべきである。また「コミュニケーション」を重視するために、中学では英語はすべて英語で指導と言うが、どうやって指導人員を確保するのか。そもそもコミュニケーションとは「話す」ことに限らず、書いたり読んだりを通じても図られるものだ。むしろ、社会に出てから実践に必要な能力は、短時間で英語のマニュアルを読んだり、メールを書いたり、プレゼンをしたりという能力が要求されることの方が多いのではないだろうか。この過程として、高校卒業時までに準1級、英語で討論できる能力というのは素晴らしい目標であるが、「読み」を中心にした全方位からの大量のインプットなしでは達成不可能だ。読まないと、単語が習得できない。知らない単語は聞いても分らない。聞こえないと話せない。そしてそれ以前に何よりも大切なことは、日本語でしっかりと相手の意見を聞き取り自分の意見を表現できる能力を身に付けることが英語習得の基盤になるということである。真のグローバル人材を育成するためには、政治家に英語教育を任せ改革案だけに先走りさせるのではなく、私達皆が英語教育の在り方を考え、「実用的な英語力」というのはいったい何を意味するのかをまず検討すべき時に来ていると思う。

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代表 高山和子 について

岡山県 津山市出身。英語講師。米国ドレーク大学大学院修士課程修了。帰国後、英語教育に携わり、'90年津山市にライト外語スクールを開校、本物の実力を身につけさせる指導に定評がある。国際ロータリー財団奨学生、英検1級、TOEIC 990点、国連特A級。 フル・プロファイル