Nancy Masterson Sakamoto さんという大学で教鞭をとっておられる方が、英語と日本語のコミュニケーションのとり方の違いについて書いたエッセイを、興味深く読んだ。 英語の会話はテニスやバレーボールの試合で、日本語は ボーリングの試合であるというのだ。 テニスやバレーボールは、ボールがどこ に飛んでくるかわからないので、常にボールを追い、競い、相手にボールを返さ ないと試合は続かない。ところがボーリングは自分の順番が決まっているので、 ボールを競う必要もなく、自分の番が来るのを待つ。
必ず 英語を自分のものにしてやるという積極的な態度で、常に発言の機会を逃さな いという態度こそが、英語でコミュニケーションを図るのに不可欠
まさに英語の会話はテニスやバレーボールである。話者が何かを言ったら、それ に対して相手は賛成、反対にせよ 自分の意見を述べ、何故そう思うのかという 理由を述べる。そこから、また相手はその意見に対してコメントする。このよう に会話は自分に投げられたボールをスムーズに打ち返すことで、進行していく。 日本語での会話のように、相手の意見に反対したら失礼にあたるとう心配は必要 ない。相手の意見に対しての反対意見とその理由を述べることで、会話はより面 白くなるであろう。よく映画などで、みなが競争のように自分の意見を言う英語 の会話の早いペースに驚かされることがある。ここまでの高いレベルは必要ない にせよ、相手の意見を聞き、自分の意見を述べるという作業なしには英語でのコ ミュニケーションは成り立たたないということを知っておく必要がある。
英語、日本語に拘わらず、日頃から 自分の意見を述べる練習をすること、それ 以前に自分の意見を持つことの大切さを、私自信、常日頃痛感している。 最近 の英語検定の面接においても、受験者は「自分はこう思う、なぜなら・・」とい う意見が言えるかどうかが判定される。 誰かが話すと、少し間をおいて次の人 が話すといったボーリングの試合になりがちなクラス内での英会話と違い、実際 の会話ではどこにボールが飛んでくるかわからない。 だから聞く側も一生けん 命に聞き、積極的に発言しないと会話が途絶えてしまう。 英語を習得する課程 においては、言語としての英語の知識の他に、特にこのコミュニケーションの取 り方を学ばなくてはいけない。クラスの中では、わざわざ時間を割いて英語を学 びにきているのであるから、レッスン時間を最大限に利用し、自ら積極的にボー ルを拾い、限られた語彙の中からでも 精一杯意見を述べることが大切だ。いく らやっても英語は出来ないといった消極的な態度は、英語の思考回路を遮断する のみならず、英語学習の成果はないと自己暗示をかけているようなものだ。必ず 英語を自分のものにしてやるという積極的な態度で、常に発言の機会を逃さな いという態度こそが、英語でコミュニケーションを図るのに不可欠であり、また英語の上達を左右する。
“Speak every chance you get!” -高山