「“it”がわかれば英語がわかるーSee It, and You’ll See English」 松本道弘著 光文社出版
この本の著者、松本道弘先生は私が大学生だった頃から、尊敬してやまない英語の達人の一人である。 今でこそ若い学習者は先生の名前も知らない人も多いであろうが、私の学生時代には、松本先生は英語を追い求める学生の間で 神様的存在としてもてはやされていた方である。 私が加わっていた大学のESSクラブのイベントで松本先生が講演に来てさり、会場を埋め尽くす何百人もの学生の前で、英語でディベートに関して1時間以上にわたり熱く語って下さったことに、当時の私は感激に言葉を失ったほどである。 その上 先生は、大勢の学生の中で、講演の後「話の内容をすべて理解していたみたいだね。 これからも頑張りなさい。」と私に励ましの声をかけてくださったのだ。 そして、あの時目の当たりにした先生の英語に対する気迫は 後々の私の英語人生にも大きな影響を与えている。
先生は、1940年大阪生まれ。 関西学院大学を卒業後、商社マンとして勤務する傍ら、独力で英語を磨き、同時通訳となり、NHKの上級英語講座でも講師を務められた。 今回 出版されたばかりのこの本は、英語学習者の壁であり、心となる”it”の様々な使い方を紹介している。 “it”なんて簡単に聞こえるかもしれないが、これが奥が深いのだ。 確かに、注意して英語を聞いてみると、日常会話は”it”で満ち溢れている。 そして、それを自由に使いこなすには、英語のセンスを磨かなくてはいけない。 「聴けて、話せて、読めて、書ける英語」を伝授したいと願う先生の、ワンランク上を目指す学習者への英語本である。
- “Give it a try!”
- (やってみよう。)
そしたら、
- “You can make it.”
- (うまくいく。)
- “It takes time to learn to use ‘it’, if you want to get it right.”
- (’it’ を使いこなすには、 きちんと理解しようとすると時間がかかる)
けど、
- “It’s all worth it.”
- (すべてやりがいがある。)