毎日暑い日が続いているが、皆さんは英語学習に中だるみを感じておられないだろうか。長時間かけて学習するのも結構だが、できればメリハリを持た せ、短期 間で効果が現れる学習方法を導入しこの暑さを乗り切ろう。 それには「シャドーイング」という学習法をお勧めする。この方法は私も大学生時代に取り入れて いたので、その効果は体験により明らかだ。 今でこそ「シャドーイング」という言葉が英語界でもてはやされているようだが、当時はこんな言葉があることす ら知らず、ただ単に自分のやり方で学んでいたのにすぎないのだが、その学習法が「シャドーイング」と呼ばれているのを知ったのは恥ずかしながら最近であ る。 私が学生時代には毎月発行される "English Journal" という各界の著名人のインタビューばかりを収録した雑誌とそのテープが私の何をさて置いてでも購入した月々の楽しみで、この学習法には最 適な私の貴重な先生であった。 今でもこの教材はロングセラーを誇る質の高いもので、英語学習者には人気商品であると認識している。
さて「シャドー イング」とは文字通り、聞こえてくる文章を影(shadow)のようにすぐ後から間髪を容れないでできるだけ正確に繰り返す作業である。 ただ単に聞くだ けだと消極的な学習法に留まるが、シャドーイングだと聞くのと同時に話者と同じように話すので、積極的な学習法であると言える。 またネイティブの人が話 している文章は、読んだら容易に理解できるのに聞き取れないという学習者は英語の状況によるイントネーションや発音の違いの情報のインプットが十分できて いないのであろう。 たとえば、「アイ ウォナ…、アイム ゴナ…, アイ ゴラ…」といった言葉を耳にすると容易にそれが "I want to…, I am going to…, I’ve got to…" を意味していることがシャドーイングを通じて脳にインプットされる。 また聞き取りだけでなくスピーキングの上達を目指すのにも最適な学習法 である。 何年も英語を学習したにもかかわらずなかなか意思の疎通が図れず、何度も聞き返され、話す自信をなくしたという経験をお持ちの方もおられるだろ う。 あまりに日本語的な発音で喋ると、いかに素晴らしい内容を話していても相手に理解してもらえず、コミュニケーション自体が成立しない。 聞いて分 かってもらえる英語というのは、もちろん個々の単語の発音も大切だが、文全体の強弱の位置やリズム、ポーズの置き方等の方がずっと大切なのである。 シャ ドーイングを通じて、自分がその話し手になったつもりで話者の発言をそのまま再現する事で 身体で英語を学習でき、ナチュラルな英語のリズムが身につき また 表現法も学べる。 語彙や文法的な面が弱い方は、これに平行して英語を読むことで英語の知識を増やしてゆけば、さらに効果的である。
で は シャドーイングとは具体的には どうやってやるのかを簡単にご説明しよう。 まず CDプレーヤーにヘッドセットとご自分のレベルに合ったCD付教材 を用意する。 著名人のインタビューを特集した月刊誌 "English Journal" や「時事英語」などが最適であるが、その他にも興味を引きそうなものであれば何でも良いと思う。 まず 内容を大半理解できるまで聞き取ってみる、そして 今度はスクリプトと照らし合わせてみて、聞き逃したとことなど細かいところをチェックし、スクリプトを完全に理解しておく。 そして ヘッドホーンをつ け、今度はトランスクリプト無しでスピーカーのすぐ後をポーズ無しに即座について言ってみる。 最初は間に合わなくてもどんどん先に進めてついて言ってい るうちに 自然なスピードに慣れてきて、ついて言えるようになるはずだ。 この練習方法は同時通訳の方も採用していると聞いたことがある。 大変な集中力 を必要とするので 20~30分もしたら疲れることだろう。 だから、ご自分のできる時間で まずは一日10分でもこのシャドーイングを学習に組み込む と、その効果は必ずや現れることであろう。
最近では TOEICや英語検定ではナチュラルなスピードのリスニングが出題され、集中して 問 題に当たる必要がある。 シャドーイング学習を続けると集中力がつき、スピードの速い音声も聞き取れるようになるし、正しいリズムが身につくので通じる英 語が話せるようにもなる。 私もかれこれ25年ほど前、ネイティブスピーカーとほとんど話す機会のない大学生時代に活きた英語が学習できたのは このシャ ドーイングの学習法によるところが大きい。 皆さんも暑い夏に負けず短時間で集中的に効果をあげるべく、是非 シャドーイングを毎日の学習に取り入れてみ よう。