私が アメリカで学生だった頃、あるクラスメートが "You are wearing a long face. What’s up?" と言ってきた。 私は 自分の顔が比較的 丸顔であると知っていたので、なんだこの人は "a long face" なんておかしな事を言う人だなと思い、"What do you mean? Can’t you see I have a round Oriental face?" と答えたのを覚えている。
後で 説明してもらったのだが、"a long face" とは 文字通りの「長い顔」ではなく、「悲しそうな顔」という意味だったのだ。 なるほど、その人は「悲しそうな顔をしているけど、どうしたんだ。」と尋ねてくれていたのだ。 それに対して、私は「どういう意味? 私は 丸顔の東洋系の顔だって事わかんない?」とは まったく会話が通じていない。 悲しくなると顔は小さくまとまる様なイメージを持っていたのだが、どうやら英語では 悲しくなると顔は長くなるらしい。 この面白い発見に ホームシックも吹き飛んでしまったのだった。
日本語でも 「面目がたたない。」「顔に泥をぬる。」「顔がきく。」等、顔に関する言い回しは多々ある。 英語でも これに似通った表現があり、日常的に使われるので、ここでは 比較的 頻度の高いと思われる表現を 幾つか紹介してみよう。
例文
- He is a well-known face around here.
- 彼は この辺りでは 良く知られた人物だ。
- She is not just a pretty face.
- 彼女は 見かけより能力がある。―単に奇麗なだけではないという意味から
- It’s about time we had a face-to-face talk.
- 面と向かって話をしてもいい頃だ。
- Let’s face it. There is nothing we can do about it.
- 正直なところ、それに関しては何も出来ないね。
- We should face up to the problem more seriously.
- もっと真剣に その問題に立ち向かうべきです。
- He tried to keep a straight face, but couldn’t.
- 真顔でいようとしたが、出来なかった。
- He saved face by carrying out his responsibilities.
- 責任を遂行することで、面目を保った。 - 反対は “lose face”(めんつを失う)
- I bought the car at face value.
- 額面価格で その車を買った。
- Stop wearing a long face. Put on a happy face.
- 悲しい顔をするのはやめて、楽しい顔をしてごらん。