文法上、英語では原則として主語の動詞の時制に合わせて従属節の動詞の時制を変えるという法則がある。 たとえば、"I thought you were busy."(あなたは忙しいと思ってたわ。)とか、 "I thought you had been studying English for 10 years." (10年間英語の学習をされていたと思いましたが。)の文のように、従属節の動詞は主節の動詞に呼応する。 このような 時制の一致を練習する書換え問題等で文法の時間に頭を悩ませた方も多いのではないだろうか。
そして 時制の一致が適用されない場合として、(1) 歴史上の事実、 (2)不変の真理、 (3) 仮定法 がある事は教科書に述べられているのだが、その他にも会話の中では特に(4) 話者のその時点の気持ち に応じて従属節の中の動詞が必ずしも主節の動詞の時制に一致しない場合がある事も知っておこう。では 時制の一致が適応されていない例を下にあげてみよう。
例文
1. 歴史上の事実は常に過去形:
- Did you know Columbus discovered America in 1492?
- コロンバスが1492年にアメリカを発見したのを知ってましたか?
2. 不変の真理は常に現在形:
- I learned the earth moves around the sun.
- 地球が太陽の周りを回るのを学びました。
3. 仮定法は時制の一致を受けない:
- She wished she were a doctor to save her child.
- 彼女は 自分が子供を救える医者だったらと思った。
4. 話者のその時点での気持ちによる不一致:
- I heard there is a party tonight.
- 今晩、パーティーがあるって聞いたけど。―これからの事実
- Yoko said she does volunteer work on Sundays.
- 陽子は日曜日はボランティアをするって言ってたよ。
- -陽子の現時点での習慣を話者はよく知っている。
- I knew they have a sale here.
- ここでセールがあると思ってたわ。-話者の現時点での喜び
- 参照:I thought they had a sale here.
- ここでセールがあると思ったのに。-せっかく来たのに残念
- U.S. Secretary of Defense Donald Rumsfeld said he believed the North Koreans already have a "small number" of nuclear weapons.
- ラムズフィルド長官は北朝鮮はすでに数個の核兵器を保有している事を確信していると述べた。
-事実として疑いのない話者の気持ち
(4) の例文では 時制の一致を適応させない事により、その場の話者の気持ちや臨場感が伝わってくる。
これに時制の一致を応用すると、何だか 新鮮さが文から失われてしまう。