簡単そうに見えて 学習者には厄介な前置詞が “of” ではないだろうか。 中学校英語では “of” は「~の」としか学ばないので、その訳だけが定着していて、 “of” が出現するとなんでも「~の」と訳していては大間違いである。私は、高校時代に受けた授業で 予備校の先生から、 “of” は “off” から派生し語源は一緒で、どちらも「分離」を表すのだと教えられた時、まるで目からうろこであったのを思い出す。 なぜならそれまで “of” は「~の」という所有の意味だと思っていたので、なぜ “get rid of ~” (~を取り除く)というのに “of” を使うのかと不思議で仕方なかったからだ。 それ以来、基本的には “of” は何か本体がありそこから「離れて」「起源として」という漠然としたイメージを抱いている。ただそれだけにはとどまらないので、下記の例文でいろいろな用 法を見てみよう。
1. 「分離」をイメージする
- I live within 2 kilometers of the station.
- 駅から 2 キロ以内に住んでいる。
- Children soon become independent of their parents.
- 子供はすぐに親から独立する。
- She was robbed of her wallet.
- 財布を奪われた。
- The desk was made of wood.
- 木製である。(元の wood から離れて出来たイメージ)
- The topic was of value to us.
- 価値がある。( value という性質を取りだしているイメージ)
- He died of cancer.
- 癌で亡くなった。(「離れて」から「原因」となるイメージ)
- He is a man of courage.
- 勇気ある人だ。(色々な性質から courage を取り出したイメージ)
2. 関係を表す
- All the fans were waiting for the arrival of the star.
- スターの到着(「スターが着く」という主格関係)
- The construction of the building was started last month.
- ビルの建造(「ビルを建造する」とう目的関係)
- They have no hope of winning the race.
- 勝つ望みはない。(同格関係)
3. 「~に関して」を表す
- I have heard of the book.
- その本は聞いたことがある。
- They told me of their families.
- 家族について語った。
“of” の持つ漠然としたイメージを理解した上で、下記の文章を比較してみよう。 なかなか学習者の中にはこの使い分けができていない人も多いのではないだろうか。
- I know John.
- ジョンと面識があり、よく知っている。
- I know about John.
- ジョンについて人から聞いたりしていろいろ知っている。
- I know of John.
- ジョンとは面識がないのだが、聞いたことがある。~ about より漠然として知っている。