英語で、”feminism”は「男女同権主義」を意味し、”feminist”は「男女同権主義者」を表す。 日本語の中で使われる「フェミニスト」は「女性に優しい男性」を意味するのによく使われるので、”He is a feminist.” と言う場合は、意味を取り違えないように注意しよう。
フェミニズムといえば、日本は世界で第2位の経済大国であるにも拘わらず、昨年の世界経済フォーラムの報告書による女性の社会進出度は世界で第79位という情けない結果だ。柳沢大臣の「女性は子供を産む機械 (“Women as child-bearing machines”)」との 女性を馬鹿にした衝撃的な発言が、国内のみならず世界的に波紋を広げたことは記憶に新しい。 “Minister Yanagisawa put his foot in his mouth.” (うっかり へまなことを言った。) 単なる “a slip of the tongue” (失言)であった、だけでは済まされない。 この発言は、日本社会に深く根付いている女性に対する差別的な考え方を代表しているものではなかろうか。
フェミニズム の動きは、英語の中にも なるべく男性、女性に関係ない中性を表す単語を使う動きの中に着実に現れている。 いくつか フェミニズムに影響を受けて変化した単語を紹介してみよう。
- Mrs.(既婚の女性に用いる)
Miss(未婚の女性に用いる) »Ms. (既婚、未婚に関係なく女性に用いる) - chairman (議長)»chair, chairperson
- policeman (警察官)»police officer
- fireman (消防士)»fire fighter
- mailman (郵便配達人)»mail carrier, letter carrier
- stewardess(スチュアーデス)»flight attendant
- businessman (ビジネスマン)»businessperson
- spokesman ( スポークスマン)»spokesperson
特にビジネスの場面や、相手が進歩的な考え方をしていると思う場合は、下記に注意することで差別的な表現を避けることができる。
- 例に挙げたように、”man”の使用をさける。
- “Mrs.”, “Miss”の代わりに”Ms”を使用する。
- 相手の 社会的な立場がわかっている場合は、肩書きをつけて呼ぶ: “Professor Rice” “Dr. Rice” など
- (Mr. Mrs. ~ と呼ぶと、相手に不愉快な思いをされかねないので、気をつける。 日本では 総理大臣をメディアは友人のように「小泉さん、阿部さん」とか呼ぶが、アメリカで大統領がニュースで”Mr. Bush” と呼ばれるのを聞いたことがない。 いつも “President Bush” または”Mr. President” である。 )
- アメリカでは、宛名などに男性の名前を使うことがあるが、女性の名前を使うようにする:
Mrs. Tom Jonson (トム・ジョンソン夫人)»Ms. Mary Jonson などとする。 - 一般的な人を表すのに、”he” の代わりになるべく複数形 “they”を用いる:
A good teacher motivates his students to bring out the best in them.
(良い先生は、生徒の最高のものを引き出すように動機づける。)»Good teachers motivate their students to bring out the best in them.
私、個人的には、名字(family name)で呼ばれる時は、Ms. Takayama と呼ばれることを主張している。 日本語の場合でも、一般的に女性に使われている「奥さん」という呼び名に抵抗を感じている私は、「奥さんじゃありません。」とわざわざ言い返し、相手のきょとんとした反応に出くわすことがある。 特にビジネスの場面で、「奥さん」なんて呼ばれたら、本当に興ざめである。 日本語の中にも 英語にみられるフェミニズムが反映されることで、人々の男女同権に対する認識が高まることを切望している。